ファクトがない意見は占いと変わりません。アナタの意見、見解、考えは本当にファクトに基づいていますか?
ファクトベースはコンサルタントが生き残る上での生命線です。ファクトがあるから業界素人の我々が業界玄人のクライアントと戦えます。今一度大事さを知りましょう。
ファクトなき提言は事故につながる
どうして容疑者が殺人犯を逮捕できるのか?それは証拠写真があるからだ
どうして患者がガンと分かったのか?それはCT画像に腫瘍が移っていたからだ
このようにファクトがあって、物事を判断できる。証拠なく捕まえれば誤認逮捕だし、思い込みで治療したら医療事故です。コンサルティングにおいてもファクトなき提言は大事故につながります。
例えば最近流行りのデジタル化。ではどうしてクライアント企業のデジタル化が大事とアナタは言えるのか?そのためにはファクトがいる。
- アナログな対応にコストがかかっているからだ
- 印刷代が数億円かかっているというファクト
- アナログな作業に貴重なリソースが割かれているからだ
- 従業員の30%の時間が無駄なハンコ作業や承認作業に費やされているというファクト
- アナログよりもでデジタルの方が品質がいいからだ
- AIが品質検査を行ったらミスが10%減ったというファクト
デジタル化もファクトがあって初めて説得力がでてきます。
一方で以下のようなファクトがあるとデジタル化が容易でないことも言えます
- 飲料水の売り上げの大半は小売店と自動販売機だ。ECで買う人は少ない
- 携帯加入に加入する大半の人はネットではなく、販売代理店経由だ
- 自動車の購入はディーラー経由が多い。購入者は高額な買い物ほど商品を一度確認したがる
こういうファクトをすっ飛ばして、偉そうに「これからは自動車もネットで買う時代ですよ」と言い出す人はイマイチなので気をつけましょう。テスラなどの一部の会社は成功していますが、いまだに大半はディーラー経由が多いのも事実です。
ファクトを持って批判的に物事を見る
「戦略コンサルティングファームは女性も活躍できるのでしょうか?」
セミナーや面接時にこんな質問が志望者からファームの採用担当に投げかけられることがしょっちゅうだと思うが、各ファーム昨今の多様性ブームから当然「力を入れています。産休や育休している人もいます」と物腰柔らかく、素敵な笑顔で、賢そうに回答することだろう。
その答えに安心するアナタ。それではダメなのだ。ファクトベースとはちゃんと事実に沿って物事を評価することです。
例えばファームを代表するパートナーの女性比率はどうなっているかは「ファクトとして数えてみれば」大体現状が分かるのです。以下に2023年1月時点のパートナー以上または相当職(シニアパートナーとか、マネージングディレクターとか各ファームごちゃごちゃなのでやりづらいことに気づいた)の女性比率を数えてみました。(DIとKerneyは公開情報からは集計できず)
パートナー数 | 女性パートナー数 | 女性比率 | |
ADL | 12 | 1 | 8% |
Bain | 26 | 3 | 12% |
BCG | 112 | 8 | 7% |
CDI | 7 | 0 | 0% |
DI | |||
Kerney | |||
Mckinsey | 61 | 6 | 10% |
RB | 9 | 0 | 0% |
Strategy& | 15 | 1 | 7% |
このファクトをどう解釈するだろうか?
一番女性の活躍を重んじているのはBainかもしれないが、総じて「戦略ファームにおける女性の活躍はまだまだこれからだ」という解釈の方が正しくないだろうか?
だからハイハイいい子で相手の説明に納得せずに、「女性のパートナーが少ないですが、本当に女性の活躍ができる会社なのですか?」と批判的に突っ込むくらいがいいコンサルタントになれる条件だと思います。こういうクリティカルな質問を聞いた方が相手がどう考えているか本気の回答を引き出せます。
ファクトがあるからクライアントを納得させることができる
私たちコンサルタントの相手は業界に詳しいクライアントです。営業部相手に売り上げを上げる提言をしなければなりませんし、エンジニアに向かってマシな開発を提言しなければなりません。相手は何にも知らない若造が何言ってるのか?と思っても不思議じゃないですよね?だから相手が反論しづらいファクトが大事なのです。
以下は典型的ですが相手部門が陥るケースとファクトを使って説得するようなやり方です
- 対営業部:苦労して売っている方々なので営業方法への提言に反対する
- 業界平均に対してクライアントの業績を比較してもっと頑張れることを示す
- 市場の伸び率に対して業績がついていっていないことを示して頑張れることを示す
- 対エンジニア:開発への思いが強く、実装したい機能にこだわる
- お客のニーズアンケート結果を見せて、大事だと思っている機能は不要であることを示す
- 他社の開発費vs上市した製品数を比較して開発効率が劣っていることを示す
- 対調達部:取引先とウェットな関係があり少額でも多数の取引先がある
- 取引企業数の2割が全体の発注額の8割を占めていることを示して、取引企業数が多いことを示す(ただし取引をやめることは相手企業の存続にもかかわるため慎重な経営判断であることは理解する)
まとめ
思い込みを捨て、ファクトベースで物事を考えることが大事です。ファクトべースになると物事を平たい目で批判的に見ることができます。また業界玄人のクライアントとも戦っていけます。大事なスキルとして身につけましょう
以上